「もう後戻りできない。だから、絶対に最終日までに”次”の場所まで上がりたいんです」
ツアー序盤、ごっちんは決意に満ちたマナザシでそう語っていた。そして6月27日、”後藤真希コンサートツアー−2004春〜真希色に塗っちゃえ!”は仙台サンプラザで熱狂のファイナルを迎えた。後藤真希にとって3度目のソロ・ツアー、見事に「ホップ! ステップ! ジャンプ!」の”ジャンプ”で締めくくられた。
ツアーを終え、現在は新曲「横浜蜃気楼」、そして夏のハロー!プロジェクトのコンサートに全力投球中の後藤真希。この曲に漂う粋な艶っぽさは、ツアーで磨きをかけたオンナっぷりのタマモノ・・・・・・ではないかという気がする。というわけで、ツアー終了記念のロング・インタビューを敢行。今までになく試行錯誤を繰り返しながら進んでいった山あり谷ありの”旅”が終着点に至った時・・・・・・彼女は果たして”次”の場所にたどり着いたのか? その答えは、このインタビューをじっくりとお読みください。
――ツアー序盤では、「今回は賛否両論」と言ってましたけど。
「終わってみたら、今回のツアーは”今までと違うけど、今までで一番良かったね”って言われることが多いんですよ」
――やってのけましたね。
「ホッ。みたいな」
――後藤さん自身の中でも、最初は「賛否両論」があったみたいだけど。
「最初の頃は、かなりとまどってましたね。自分の中で”どんなにがんばっても、あそこがうまくいかないんだよなあ”みたいなとこがいろいろ、つねにあって。だからツアーの前半では”ツアーは楽しいけど自分で自分に満足できてるかっていうと・・・・・・うーん”みたいな感じってずっと言ってたじゃないですか。体力的にも、けっこうキツい時もあったし。でも、後半から少しずつ振り付けも変えたり、満足できるカタチに向かって変えてくことができて。今回、ドンドン自分で変えていくツアーだったんですよね。だから、最終的には楽しかったなぁ。よかった」
――山あり谷あり、大冒険ツアーだったもんね(笑)。
「うん。でもそういうツアーだったからこそ、最終日もすっごい楽しかったし。そーだ、ファンのみんなにも最後にすっごいプレゼントもらっちゃった しね!」
――ね。最終日の「涙の星」で、ファンの人たちの有志が呼びかけて星型のサイリウムを掲げててね。会場中が星空みたいになってて、キレイだった。後藤さん、あれで泣かされてたしぃ〜。
「だって、もぉ、びっくりしちゃって(泣笑)。ああいうの、はじめてだったから」
――そもそも「賛否両論」って、シングル曲をメドレーでやったり・・・・・・そういう構成の面での反対意見もあったのかな。
「そうなのかなぁ。でも、やっぱ、何もかも本人次第・・・・・・なんですよね。まぁ、どうやっても、お客さん全員を満足させられないのは当然なのかもしれないけど。それを少しずつでも変えていくことはできるんだなって、今回わかったんです。シングルをメドレー形式でやるのを観て”これは違うよな”って思ってる人が、次に観た時に”これもいいネ”と思ってくれるようなステージにすることとかね。本人次第なんですよ」
――”責任感ツアー”でしたね、今回は。
「うん。”いいね”って言われると、こっちも欲が出て、もっとスゴいことやりたくなるじゃないですか(笑)。そうすると、お客さんも欲が出てきて”もっともっと〜”って期待が大きく なって。それで、また期待を倍にして返してやるぅぅぅ〜みたいな」
――”負けず嫌いツアー”か。じゃ、ふだんの後藤真希そのまんまだ(笑)。
「MCとかも、今回はふだんの自分そのまんまで。なんか、あとから思い出すとメチャクチャなこと言ってたなぁっていう日もあったんだけど。それも、おもしろかったな」
――初ツアーのMCとか、今になって思うとすごくちゃんとしてたかも。まとまってた、という意味で(笑)。でも、今のほうが、友達と話してるみたいな自然体で親しみがわく。
「んはは! ねっ! 最初の頃は、人前でひとりで話すのも慣れてないし。だから、”ちゃんと話をまとめなきゃ”とか考えすぎちゃって、逆に話してる途中で”あれ、何話してたっけ?”みたいなこともあったり(苦笑)」
――”歌手・後藤真希”として、今回、いちばんうれしかったことってなんですか?
「歌を聴いてもらってるなぁっていう実感、かな。ただ激しく歌って踊って燃え上がって・・・・・・みたいな感じだけじゃなくて、お客さんがじーっと聴いてくれてるのが伝わってきてうれしかったですね。バラードとか歌い終わった後に拍手が聞こえてきたり、あとからファンの メッセージで”ごっちんの声が好きです”とか言われると、そうやってみんなを感動させる歌が歌えてよかったなぁってしみじみと。ね。へへっ」
――今回、初めてのバラードが何曲か入りましたが。それも大きかったですね。
「そう。同じバラードでも、歌ってるときの気持ちがぜんぜん違うんですよね。<秘密>とか<さよならのLOVE SONG>はまた違う感動がある歌で。あと、<オリビアを聴きながら>の場合は歌だけじゃなくて、セットの中で”見せる”要素も大きいからキモチがちょっと変わるし」
――「涙の星」の場面、好きだったなぁ。歌っている姿だけで”見せる”曲というか。最終日、ファンの人に聞いたら、この曲で星型サイリウムを出すときも、”歌を聴く”というのが大事な約束事だったみたい。だからサイリウムを振らずに、静かに掲げてたそうですよ。
「ホント? うれしいな。歌っている間はすっごく静かで、歌い終わって拍手がワァーッとくると”よかったぁ”って思うんですよ」
――激しく動く体力と、じっくり聞かせる体力の両方を使うステージだったのでは?
「そうなんですよね。今回は休憩できるコーナーが少なくて(笑)、最初から最後まで ずーっとやってるから体力的にはかなりキツかった。ステージで、フッと後ろ向いた瞬間のわたしは誰にも見せられない。どんな顔してるかわかったもんじゃない、って感じ(笑)」
――ヨレヨレでゼーゼー?
「たぶん、ものスゴイ顔。客席を向いた時には、笑顔に戻ってるんですけどね。センター・ステージじゃなくてよかった、みたいな(笑)」
――最終日までに次のステージまで上りきってしまいたい。と言ってたけど。行けた?
「う〜ん。自分のやれる限りのところまでできた、という手ごたえはあるんだけど。これが、ゴールまで行けたことかどうかは・・・・・・よくわかんないんですよね」
――ゴールに着いたとたん、また次の”はじまり”になっちゃったのかも。
「かもしんない」
――ハードルを高くしていくとか、ゴールまでのタイムを短くしていくとか。そういう、目に見えるカタチでの”答え”ではない答えが見つかったんじゃないかな。
「たしかに、”あのゴールめざして行くぞ!”みたいなツアーではなかったんですよ。先がわからないまま、でも、できるだけ遠くまで行くぞ! みたいな。そのせいか、けっこう考えることが多いツアーだったな。 ステージに立つと、考える前に動いちゃえ! という感じなんだけど。終わったあととか、いろんなこと考えさせられてました。ずっと。それで、途中で”もうちょっとハードル下げようかな”とか”ちょっと上を見すぎてたかも”とか思ったこともあるんだけど。とりあえず、どうなるかわかんないけどハードルは上げたままで行くぞ。と。そんな感じで」
――カッケーッ! ホレたッ!(涙)
「ぶはっ(笑)。で。そんな感じで、最後まで行けたから。そのあたり、今回のツアーで自分がすごく変われた部分かなと」
――新曲「横浜蜃気楼」も、今のそういう勢いに合っているのでは?
「そうですね。ツアーのステージで歌っても、違和感なく盛り上がったし」
――こういうロック系も初めてですよね。
「ここまで激しいの、初めてかも。この曲とか歌ってると、バンドとかで歌ってみたい〜と思っちゃいますね」
――ギター・サウンドが、結構お気に入りみたいですね。
「うん。横にギタリストとかいて、この曲を歌ったらカッコいいですよねぇ」
――カップリングの「BLUE ISLAND」はどんなイメージ?
「”聴いてるだけで夏が来るぅ〜”みたいな」
――もう 来てるんですけど、夏。
「ですよね(笑)。でも、夏! 太陽! って感じのキモチイー曲。日差しがまぶしくて、でもさわやか。みたいな。これ、春ツアーで歌いたかったですね。秋ツアーになっちゃうと、ちょっと季節はずれになっちゃう。残念」
――今回のシングルは2曲とも、作詞がつんくさんで、作曲がはたけさんというコンビの作品ですが。はたけさんの曲はどうですか?
「2曲ともタイプが違うけど、すごい覚えやすい曲だなと思いました」
――「横浜蜃気楼」の女のコって、今の自分より年上のイメージ?
「たぶん、年齢は上ですね・・・・・・でも、わたしより元気なコっていうイメージがある」
――ホンモノの後藤さんと比べると”しっかりしてないコ”ってイメージがある(笑)。
「や、そんあこたないですよ。ただ、まぁ・・・・・年齢的にはオトナなんだけど、ちょっとキモチがぐらぐらしがちなコっていうイメージはあるかなぁ」
――ジャケット写真とかには、けっこうオトナな後藤が出てるような。
「でも、この腕、すっごいたくましく見えるんですけど(苦笑)」
――でも、セクスィーだし。
「こんなたくましくないはずだったのに 、あたし・・・・・・みたいな」
――や、ポーズからしてたくましいし(笑)。
「やだなぁ〜(泣)」
――曲のイメージによって自分も変わってく・・・・・・みたいなことってある?
「けっこうありますよ。振りつけとか衣装とかが決まってくると、その世界に染まっていく・・・・・・というか。でも、最近のあたし・・・・・・新曲じゃないんだけど、ナニゲに<溢れちゃう・・・BE IN LOVE>が”いい曲だなぁ”とか思ってて」
――今ごろかいっ!?
「うん。なんか、ここ最近、めちゃ好き(笑)。この曲が出た頃は、カッコいい曲だとは思ってたけど、けっこう背伸び! 背伸び! 背伸び! って感じでやってたじゃないですか。ダンスとかもクール系で。で、ほかのみんなは、なんかかわいらしい曲とかたくさんあって・・・・・・」
――タンポポとか。
「そうそうそう。で、なんであたしだけひとりでオトナっぽく♪ウォーホーホーとかなんだろ〜ね(笑)とか、いつもよっすぃ〜(吉澤)とか加護に言ってて。でも、この曲ってずーっと歌っていくうちに、いろんな見せ方ができるっていうか。前と違う感じで歌えたり。楽しいんですよ。で、あらためていい曲 だなぁ、ずっと歌っていきたいなぁと」
――歌を”育てた”って感じ?
「なのかな」
――やっぱ、最近、気付かないうちにいろいろ成長しているよーな気がする。
「うん。だといいんですけどね」 <了>